横浜 活動の背景
-
横浜市は1960年代末頃より田村明企画調整局長の下、地方自治体による主体的な街づくりの重要性を認識し、六大事業が牽引する総合的な街づくりを進めました。
その一つがアーバンデザインの取り組みで、街の動きや市民生活に対応して、都市環境の質の向上を図るための活動をするという、法律などにはない独自の取り組みでした。
アーバンデザインの具体的な活動は、戦災により破壊された開港の地「関内地区」の再生とともに、港町の歴史を生かした都市空間と快適な市民生活環境を創り出すために始められました。
市街地と港とをつなぐ「緑の軸線構想」と「商業の軸線構想」の実現を図るため、「関内地区」において高速道路の地下化を実現し「大通り公園」を誕生させました。
そして、さらにアーバンデザインのチームを強化して、本格的な取り組みを開始しました。
私が横浜市には入った1976年には「くすのき広場」が完成していて、「都心プロムナード」と「馬車道商店街」の街づくり事業が進行中でした。
(横浜市では当初、アーバンデザインという言葉を使用していましたが、日本語でないと分かり難いという議会からの要望を受け、後に都市デザインと言い換えています)
横浜 活動の履歴
-
1975年に、港北ニュータウンセンター地区の基本設計の作成に参加する機会がありました。
計画主体の横浜市が自ら直接、3か月で作成する業務でした。
設計を行っている部屋の前には、完成したばかりの「くすのき広場」が広がっていました。
当時の道路をとりまく状況の中で、この歩行者空間の実現は画期的なことで、横浜市のアーバンデザインチームが直接、活動することによって実現させたものでした。
その実践力に感銘を受けるとともに、街づくりに対する地方自治体の果たす役割に大きな可能性を感じました。
そしてこの出会いがきっかけとなって、横浜市に招聘されました。
一定の地域の街づくりに責任をもつ地方自治体という立場で、市民生活の場をデザインする活動に取り組むことになりました.。
こうして本格的に始まった都市デザインの活動は、当初の「関内地区」を中心とする成果が市民の支持を受けることによって、地域的にもテーマ的にも広がっていきました。
横浜のそれぞれの街を対象に、さまざまなな計画や事業などと、自然、歴史、生活空間などとの関係を見守り、より快適な市民生活と、個性と魅力ある都市環境を創り出す都市デザインの活動に取り組みました。
22年半にわたって勤めた横浜市役所は、その間に体制が幾度も変わり、都市デザインを行う立場にも変化がありました。
しかしこの間、一貫して都市デザインにこだわり、取り組み方を工夫しながら、仲間達などとともに、さまざまな活動を続けることが出来ました。そうして多くの、一定の質を備えた都市空間や環境を創り出すことが出来ました。
そしてさらに、日本各地の都市で、魅力ある街づくりに取り組むようになっています。
こうした基礎の上に、時に応じた変化を続けながら、横浜の街は生き続けています。
参照:「歴史を生かしたまちづくりと都市デザイン 1」
「歴史を生かしたまちづくりと都市デザイン 2」
「歴史を生かしたまちづくりと都市デザイン 3」
「歴史を生かしたまちづくりと都市デザイン 4」
参照:「横浜と佐世保での都市デザイン活動」
参照:「街歩き 国内の街」の「街並み生い立ち街歩き―港町 横浜と佐世保」
参考:「都市デザインは現場の実践活動から」(都市デザイン室への手紙)
参考:「横浜市都市計画局計画部都市デザイン室」(交通工学 オフィス紹介 1988/1)
● 関内・山手地区を中心にした都心部の取り組み | ||||
・ 歩行者空間整備・ 商店街の再生調整(公民協同による歩行者空間整備と街づくり協定による街づくり) | ||||
元町商店街 | イセザキモール3・4 | 関内駅南口モール | 横浜駅東口・西口駅前周辺 | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
・ 山下公園周辺地区と日本大通り地区の街づくり(シンボルゾーンのガイドラインによる街づくり) | ||||
郵便貯金会館メルマルク | 横浜開港資料館 | 中区役所 | ホテルニューグランド保存改修 | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
・ 開港広場の整備 (山下公園地区、日本大通り地区、大さん橋の結節点にあり開港を記念する整備) | ||||
開港広場 | 広場周辺建物色彩等調整 | 大桟橋プロムナード | 大桟橋国際コンペ | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
参考:「開港広場における都市デザイン」 (Design News149 日本産業デザイン振興会 1983.10.30) |
||||
・ 山下地区と山手地区を結ぶ歩行者空間整備(人形の家とペデストリアンデッキによる歩行者ルート整備) | ||||
フランス橋 | 横浜人形の家 | ポーリン橋 | 山下公園世界の広場 | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
・ 山手地区の街づくり(山手街づくり計画と山手地区景観風致保全要綱による街づくり) | ||||
フランス山公園再整備 | 山手イタリア山庭園 | 外交官の家移築保存 | 要綱による建築物協議調整 | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
・ 山手地区の洋館の保存活用 (公的な保存活用による街並み整備) | ||||
エリスマン邸移築保存 | 山手234番館 | ブラフ18番館移築保存 | ベーリックホール | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
・ 公共建築のデザイン(公共建築の質を高めるための調整) | ||||
中区役所 | 関内ホール | MM21線駅舎デザイン調整 | 公衆トイレ | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
(馬車道駅) | (中華街トイレ) | |||
・ ストリートファニチャーやアートの設置調整(質の高い環境整備の一環としての調整と設置) | ||||
道路愛称標識・坂名標識 | 関内地区道路愛称標識 | 磯子区魅力案内板 | 横浜公園時計塔 | |
![]() |
![]() |
![]() |
||
・ 都市空間の演出 (街並みの特徴づくりの一環として、地域毎の色彩計画と建築物等の調整) | ||||
マリンタワー色彩 | 2階建バス(ブルーライン) | ゴミ収集車色彩コンペ | 都市の色彩計画調査 | |
![]() ![]() |
![]() |
![]() |
港の色彩計画 | |
(従前) (従後) | ||||
・ ライトアップ の推進(歴史的建造物や公的施設のライトアップなどによる夜景の演出) | ||||
ライトアップヨコハマ | ライトアップの常設化 | 横浜市夜景演出協議会運営 | ||
![]() |
![]() |
![]() |
||
参考:「ヨコハマ散歩 文明開化の音が聴こえる 建築ウォッチング」 (ARCAS 1990/5.6 JAS機内誌) |
||||
● 大規模プロジェクトの取り組み | ||||
・ 金沢シーサイドタウン住宅地 (2号地全体計画と各種施設の総合デザイン調整) | ||||
北ブロック計画設計調整 | 北・中央ゾーンの共同設計 | 南ブロック計画設計調整 | センター地区設計調整 | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
公共施設のデザイン調整 | ||||
並木第3小学校 並木第4小学校 |
||||
参考:横浜・金沢シーサイドタウン住宅地アーバンデザイン 1 | ||||
参考:横浜・金沢シーサイドタウン住宅地アーバンデザイン 2 | ||||
・ 港北ニュータウン地区(各種施設のデザイン調整) | ||||
センター地区基本設計 | しいのき台・かしのき台 | 川和中学校デザイン調整 | 茅ヶ崎中学校デザイン調整 | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
荏田南小学校,荏田南中学校 | 荏田東第一小学校 | |||
![]() |
余熱利用施設など | |||
・ みなとみらい21地区 | ||||
横浜新都市センター | 赤レンガ倉庫の保存活用 | 石造1号ドック活用コンペ | 石造2号ドック保存活用 | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
(マリタイムミュージアム) | (ドックヤードガーデン) | |||
・ ヨコハマポートサイド地区 (アートアンドデザインの街づくりとその支援) | ||||
● その他地域の取り組み | ||||
・ 区の魅力づくり調査(取り組みの対象地域を都心部から広げるために行った調査) | ||||
磯子区の魅力づくり | 南区の魅力づくり | 鶴見区の魅力づくり | ||
保土ヶ谷区の魅力づくり | 港南区の魅力づくり | 神奈川区の魅力づくり | ||
・ 駅前広場(駅前広場舗装の更新時などに、快適な歩行者空間確保を図ったデザインに変更) | ||||
磯子駅前広場 | 本郷台駅前広場 | 根岸駅前広場・駐輪場 | 鶴見東口駅前広場 | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
洋光台駅前広場 | ||||
港南台駅前広場 | ||||
・ 小広場( 道路舗装の更新時などに快適な歩行者空間確保を図ったデザインに変更) | ||||
磯子区庁舎前広場 | 夕照橋詰広場 | 蒔田中学校前広場 | ||
![]() |
![]() |
弘明寺街庭 磯子海釣り場 |
||
・ プロムナード (南区の中心を流れる大岡川の川沿いを、プロムナードとして歩道や手摺の設置、桜並木の補植などを行った快適な歩行者空間整備。この事業をきっかけにして、各区それぞれに歴史や自然などの特徴を生かしたプロムナード計画が誕生) | ||||
大岡川プロムナード | 神奈川歴史の道 | 西谷浄水場プロムナード | 柏尾川プロムナード | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
走川プロムナード | 磯子アベニュー | 金沢歴史の道 | ||
![]() |
![]() |
倉部谷戸遊歩道 桜道 新田緑道 石崎川プロムナード 鶴見情報の道 鶴見歴史と緑の散歩道 |
||
・ 公園(公園再整備の際に、周辺環境と連携した整備や、周辺住民とのワークショップによる整備を推進) | ||||
金沢区庁舎中庭・泥亀公園 | 南太田フレンド公園 | |||
![]() |
![]() |
|||
・ 許可建築物( 横浜市市街地環境設計制度により、公開空地の配置デザインなど街並み形成の誘導) | ||||
事例多数 | ||||
![]() |
||||
(SKビル) | ||||
● 歴史的資源を生かす取り組み | ||||
・ 歴史を生かしたまちづくり | ||||
「港町横浜の都市形成史」 | 横浜開港模型作成調整 | 歴史を生かしたまちづくり | 歴史資産調査 | |
(編集出版)![]() |
(横浜開港資料館展示)![]() |
(要綱の制定と運用]![]() |
歴史的建造物の認定・登録 歴史的資産調査会 歴史的資産保全委員 歴史的環境保全整備 |
|
・ 建築物の保全活用 | ||||
日本火災横浜ビル | 旧生糸検査所復元合同庁舎 | ホテルニューグランド | 赤レンガ倉庫保存 | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
横浜銀行本館別館保存 | 商工奨励館保存活用 | 横溝家 | 長屋門と長屋門公園 | |
![]() |
![]() |
![]() |
||
山手234番館 | エリスマン邸 | ブラフ18番館 | 外交官の家移築保存 | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
ベーリックホール | 横浜山手聖公会 | カトリック山手教会聖堂 | ||
![]() |
![]() |
![]() |
||
・ 土木資産の保全活用 | ||||
ドックヤードガーデン | 姫小島水門復元 | 居留地煉瓦造下水道 | 鉄道橋(汽車道) | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
● 自然資源を生かす取り組み | ||||
・ 水と緑の街づくり | ||||
大岡川プロムナード | 柏尾川プロムナード | 和泉川親水広場 | 三ッ沢せせらぎ緑道 | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
帷子川親水緑道 | 走川プロムナード | 反町川せせらぎ緑道 | ||
![]() |
![]() |
滝の川プロムナード 新田緑道 |
||
● 都市デザインへの参加と交流の取り組み | ||||
・ ワークショップ | ||||
公園(フレンド公園) | まちづくり(新山下地区) | |||
![]() |
公園(かに山公園) 地域施設(こどもログハウス) 地域づくり(南太田地区) |
|||
・ コンペ | ||||
マリタイムミュージアムコンペ | 第1回アーバンデザイン国際コンペ | 第2回アーバンデザイン国際コンペ | 第3回アーバンデザイン国際コンペ | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
ゴミ収集車デザインコンペ | 大桟橋国際コンペ | ポートサイド水際公園設計コンペ | ||
![]() |
![]() |
|||
・ 国際交流・国債技術交流 | ||||
横浜・ペナン技術職員交流 | 横浜上海友好都市協力派遣 | バルセロナ・横浜 都市文化展 | ヨコハマ都市デザインフォーラム | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
国際都市創造会議 | ||||
参考:「ペナン市との技術交流・第一回 アーバンデザインプランの提案」 (横浜市「調査季報」95) |
||||
参考:「ペナン市と横浜市の技術交流 ペナン市再開発」 (「新建築]1987.6 海外ネットワーク) |
||||
・ 広報公聴 | ||||
都市デザイン市民フォーラム | デザイン都市宣言 | |||
![]() |
都市デザイン宣言 都市美対策審議会 横浜まちなみ景観賞 都市デザイン白書 都市デザインパンフレット |
|||
・ 調査研究出版 | ||||
「都市デザイン白書 1983魅力ある都市へ」 |
「都市デザイン白書1983+ 1989魅力ある都市へ」 |
「都市デザイン/横浜 その発想と展開」 |
「URBAN DESIGN REPORT」 |
|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
「港町横浜の都市形成史」 | 「都市の記憶 横浜の近代建築Ⅰ」 |
「都市の記憶 横浜の近代建築Ⅱ」 |
「都市の記憶 横浜の土木遺産」 |
|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
「写真で見る 横浜の都市デザイン」 |
歴史を生かしたまちづくり横濱新聞 | |||
![]() |
都市デザイン基本問題調査 都市デザイン市民意識調査 |
|||
|